ポート、方向、動作状態ごとにマスクを定義する
各経路が宣言した状態で、伝送、整合、位相、アイソレーション、電力の全境界を同時に満たして初めて合格です。 インピーダンス、コネクタ基準面、未使用ポートの終端、温度、入力レベル、TX/RX/アンテナの同時状態を明記します。都合のよい 2 ポート波形 1 本だけでは、実装した多ポート系の共存性を証明できません。
チャネル計画を連続した周波数マスクにする
通す周波数、遷移を許す領域、阻止する帯域を分けます。「2.4 GHz バンドパス」だけでは、実使用帯域、ガードバンド、ブロッカを定義できません。通過端には最大挿入損失とリップル、阻止帯には全域の最小減衰を設定し、製造ばらつきと温度ドリフトもマスク内に収めます。
受信機では近接ブロッカがスカートを、送信機では高調波、イメージ、隣接キャリアが遠方阻止を決めます。デュプレクサの TX-RX 漏れは、ポート方向、終端、同時送信状態を含むアイソレーション要求であり、カタログの一点値ではありません。
挿入損失、リップル、リターンロスを分離する
挿入損失は有効経路の伝送低下、リターンロスは他ポートを規定終端したときの一つのポートの不整合を表します。伝送が許容でも反射が大きい場合、整合が良くても内部損失が大きい場合があります。周波数、温度、電力状態ごとに両方を規定します。
LNA 前の受動損失は受信 NF を直接悪化させ、送信側では出力を減らして発熱します。平均値で帯域端ピークを隠してはいけません。ケーブルや治具を de-embedding した場合は、方法、元データ、補正面を保存します。
波形が必要とする帯域だけ群遅延を制限する
群遅延は伝送位相の周波数勾配です。占有帯域内の変動は、振幅が平坦でもパルス拡散、シンボルずれ、EVM 劣化、チャネル間時間差を生じます。解析帯域、ピーク・ツー・ピーク値、計算 aperture、温度、電力を指定します。
一定遅延は校正可能であり、歪みを作るのは周波数変動です。急峻なスカート付近では位相曲率が増えるため、カタログ通過帯域全体に無根拠な値を要求しません。パルス幅、変調帯域、測距精度、等化能力から導きます。
デュプレクサのアイソレーションに方向と状態を付ける
多ポート回路の「阻止量」は、送信元ポート、到達先ポート、他ポート状態がなければ曖昧です。アンテナ-RX、TX-アンテナ、TX-RX、クロス経路、各ポートの整合を個別に定義し、他 TX、アンテナ VSWR、スイッチ、同調状態を加えます。
最大 TX 電力から最小 TX-RX アイソレーションを引き、RX 基準面の残留漏れを求めます。損傷、圧縮、ブロッキング、感度抑圧限界と比較し、スイッチ、サーキュレータ、ケーブル、基板、筐体の結合も加算します。
定格電力を採用する前に損失を熱へ換算する
電力容量は散逸熱と局所的な電圧・電流ピークで決まります。CW、ピーク、平均、パルス幅、デューティ、クレストファクタ、VSWR の大きさと位相、逆電力、周囲/ベース温度、風量、実装を定義します。多ポートでは同時キャリアも含めます。
温度は導体・誘電体損失と共振周波数を変えます。室温小信号だけでなく、規定電力で熱平衡後もマスクを満たす必要があります。PIM が重要なら、2 トーン周波数、電力、次数、受信帯域、治具残留値を明記します。
| 判断項目 | 固定する条件 | 提案を退ける条件 |
|---|---|---|
| 周波数応答 | 使用帯域、リップル、遷移、連続阻止マスク、温度変動 | 中心周波数と公称帯域のみ |
| ポート | 基準面、インピーダンス、終端、S パラメータ、リターンロス | 状態が未定義 |
| 波形 | 占有帯域、群遅延、位相、差動遅延 | 平坦な振幅だけを根拠にする |
| デュプレクス | 経路行列、同時状態、漏れ予算 | 一つの数値を全方向に使う |
| 電力 | CW/パルス、デューティ、VSWR、熱、PIM、熱時マスク | 実装と冷却がない |
| 検証 | 校正、レベル、IFBW、ダイナミックレンジ、不確かさ、データ | 阻止量が VNA ノイズ床に接する |
簡易計算:小さな挿入損失でも大きな熱になる
100 W CW、挿入損失 0.8 dB では、10-0.8/10 = 0.832 のため負荷へ約 83.2 W が届き、約 16.8 W は届きません。整合に応じた反射分を除く残りがフィルタと遷移部の熱になります。この熱を除去しながらマスクを維持する必要があります。VSWR、電界集中、パルスピーク、PIM はさらに低い限界を与えます。
測定器の限界ではなくマスク全体を検証する
- コネクタ、変換、治具、校正面を図示し、未使用ポートを規定終端する。
- 必要面まで完全 2 ポート/多ポート校正を行い、生 S パラメータを保存する。
- 阻止ダイナミックレンジを確保しつつ、圧縮や加熱を起こさない VNA パワーを選ぶ。
- 通過、スカート、阻止に適した分解能、IFBW、平均化でセグメント掃引する。
- 振幅と位相を同時測定し、占有帯域で指定 aperture の群遅延を計算する。
- 全方向、スイッチ、アンテナ不整合、同時 TX 状態を繰り返す。
- 小信号温度掃引と高電力、圧縮、破壊、PIM 試験を分ける。
- 校正状態、治具、レベル、不確かさ、限界、Touchstone、失敗波形を保存する。
実装後に表面化しやすい仕様ミス
- 保証使用帯域ではなく公称 3 dB 帯域を使う
- 連続マスクではなく一点阻止量だけ
- 挿入損失とリターンロスの混同
- 振幅が平坦なので群遅延を無視
- 送信元・到達先のないアイソレーション
- 校正ダイナミック不足の深い阻止量
- 室温小信号波形を電力証明にする
- 終端、アンテナ VSWR、筐体結合を省く
RF フィルタ/デュプレクサ RFQ の最低入力
- 通過帯域、使用端、遷移、阻止マスク、ガード、周波数許容差
- ポート数、コネクタ、インピーダンス、基準面、終端
- 経路ごとの最大挿入損失、リップル、最小リターンロス
- 群遅延、位相直線性、差動遅延
- デュプレクサ行列、同時状態、TX レベル、RX 漏れ上限
- CW、ピーク、平均、パルス、デューティ、VSWR、逆電力、PIM
- 周囲/ベース温度、実装、風、衝撃、振動、密閉
- VNA 校正、ダイナミックレンジ、不確かさ、温度/電力試験、データ形式

